通知カード、ほぼ全ての配達を完了
- 男性が自らのマイナンバーをネット上に公開
- マイナンバー通知カードの誤配や紛失が相次いで発生
- マイナンバー対応を済ませた企業は全体の1割程度
- 全国数か所でマイナンバー違憲訴訟が提訴される
- 通知カードの配達予定が当初の計画より大幅に遅れる
- 全国各地でマイナンバー詐欺が続発
- 東京都葛飾区5千世帯分の通知カードが印刷漏れ
- 制度開始まで1ヶ月を切っても約90万通の通知カードが未配達
- およそ500万通の通知カードが自治体に返送される
- 滋賀、静岡、秋田の184人分の通知カードが印刷漏れ
これらは全て、ここ1~2ヶ月の間にネット上などで報じられたマイナンバー関連ニュースの見出しです(文言の一部を書き換えています)。これらの見出しを見ていると、通知カードが全くと言って良いほど国民に行き渡らず、マイナンバー制度が今にも崩壊寸前であるかのような印象を持ってしまいがちです。
しかしその一方で、昨日配信されたYahoo!ニュースでは以下のように報道されていました。要点を箇条書きしてみます。
- 12月13日時点での通知カード配達状況を日本郵便が発表
- 同日時点での進捗状況は全体の99.9%(通数に直すと5680万通)
- 配達を終えていない4万7000通は20日までに完了する見通し
- 配達完了した5680万通のうち、本人が受け取ったのは5108万通(全体の約9割)
- 残りの526万通は保管期限の経過により自治体へ返送された
- 各自治体はカード受け取りを呼び掛けるなどの対応に追われている
当初の予定からの大幅な遅延、また配達員による誤配や紛失こそ有ったものの、どうやら年内に全ての通知カードが配達される見通しのようです。また配達された通知カードに関しても、結局ほとんどの人がそのまま受領した事実が具体的な数字で明らかになりました。
マイナンバー制度を巡る異論反論
マイナンバー制度に関しては、ネット上で数々の異論が噴出しました。特にtwitterでは「国民の大多数がマイナンバー(通知カード)の受け取りを拒否すれば、この制度が終わる」などといったツィートが拡散されていたようで、この件については当ブログでも取り上げたところです。
はっきりした理由は現在でも不明ですが、当該エントリーは数多くの方々の目に触れたらしく、facebookの「いいね!」を始めとするソーシャルボタンを大変多くの方に押していただきました。これまで数十件のブログ記事を投稿してきましたが、これだけ多くの支持を集めたのは現時点でこのエントリーだけです。
しかし存在が広く周知された結果、このエントリーはマイナンバー制度に強く反対する人々の目にも留まることになってしまったようです。そのため今年の7月から9月ごろにかけては、当ブログにも攻撃的なコメントが数多く寄せられました。曰く「マイナンバー制度など住基ネットの二の舞に決まってる」「お前は勉強不足だ」「政府に都合の良い事ばかり書いて、お前は政府の手先か」等々。
これがネットの文化だと言われればそうなのかもしれませんが、突然見ず知らずの人から、それも匿名で喧嘩腰のコメントを寄せられたところで、対処に困るというのが正直な感想です。一つ一つのコメントに反論することも考えましたが、それに要する時間と労力、そしてその後の見通しから判断して、一時的にコメント機能を凍結するという対処に至りました。現時点でブログのコメント機能を停止させていただいているのは、そのような経緯によるものです。
現実の社会で起きている事象との乖離
ネット上での侃々諤々はさておき、現実に起きている事象でいえば、大多数の国民がマイナンバー通知カードを素直に受領したことが具体的な数字で明らかになりました。現時点でおよそ500万通が自治体に返送されてはいますが、「転送不要」(郵便物の宛名に記された住所以外には転送しない方式)で送られている通知カードの性質上、一定数の不着が生じるのは避けられないところです。建前上、政府としては「全ての国民に自身のマイナンバーを伝える」と言わざるを得ないでしょうし、日本郵便にしても「全ての国民に通知カードを配達する」と表明せざるを得ないのでしょうが、それが現実には極めて困難であることは誰の目にも明らかです。
自治体に返送された500万通の中には、おそらく本人が受け取りを拒否したケースも含まれているのでしょう。しかしそれらを含めても、通知カードを受け取らなかった人々は全体の1割程度に過ぎなかったわけです。このような客観的事実から見れば、ネット上で騒がれた件のツィートは現実の社会に何ら影響を及ぼさなかったと言えるのではないでしょうか。現実社会で起きている事象と少なからず乖離した論説をネット上ではよく見かけますが、このツィートも結局はその類の代物だったようです。
国民の約9割に通知カードが届けられた以上、マイナンバー制度は予定通り来年1月1日から具体的な運用が始まることでしょう。それに伴い、税や社会保障に関する行政手続には様々な変更が加えられていきます。当事務所でも、専門家としての責任感を胸に、マイナンバー制度への対応や同制度に関するご相談をお受けしていく所存です。