マイナンバー実務のポイント…本人確認、事前取得など

 マイナンバーと社員番号の関係

特定個人情報保護委員会のホームページで公開されている「特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン(事業者編)」(以下「ガイドライン」、全文はこちら)。このガイドラインの内容について、当ブログではこれまで3回に渡ってご紹介してきました。

まず最初に「特定個人情報の保護措置」、次に「安全管理措置(基本方針の策定~人的安全管理措置)」、最後は「安全管理措置(物理的、技術的)及び中小規模事業者に認められる特例的対応」です。

今回は、それらのエントリーで取り上げてはこなかったものの、実務において疑問点が生じたり何らかの問題が生じると予想されるポイントを、ピックアップしてご紹介していきたいと思います。また今回のエントリーをもって、ガイドラインの内容のご紹介を一区切りさせていただくつもりです。 続きを読む

「労働時間」の概念…産婦人科医師の宅直当番とは

自宅で待機している時間は「労働時間」!?

職場からの急な呼び出しに備え、自宅等で待機している時間。当然お酒は飲めませんし、遠くに外出する事も出来ません。果たしてこの時間が、「使用者の指揮命令下から外れ」「労働から解放された」と本当に言えるのでしょうか?

個人的に感じていたこの疑問に対し、一つの回答を提示した判決が出されました。平成27年2月26日、奈良地方裁判所(以下「奈良地裁」)で争われた時間外手当請求事件です。この裁判の判決文は、裁判所ホームページに全文がアップロードされています。興味のある方は、こちらよりご覧になってください。

事件の概要を簡単にご説明しましょう。原告2名は、被告が運営していた病院(以下「本件病院」)の産婦人科に勤務していた医師です。この病院では、産婦人科の医師に対し、宿日直当番の他に「宅直当番」が割り当てられていました。判決文によれば、宅直当番とは以下のような状態を指します。 続きを読む

特定個人情報等の安全管理措置と、中小規模事業者に認められる特例的対応

 物理的安全管理措置とは

特定個人情報等の保護のため、事業者に求められる「安全管理措置」。この安全管理措置の内、基本方針の策定取扱規定等の策定組織的安全管理措置人的安全管理措置については、前回のエントリーで既にご紹介しました。

今回は、残る物理的安全管理措置技術的安全管理措置について取り上げるとともに、中小規模事業者における特例的対応についてもご紹介したいと思います。 続きを読む

安全管理措置の内容とは…マイナンバーガイドラインより

 ガイドラインに定める安全管理措置とは

当ブログでは、これまで二度に渡り、いわゆるマイナンバー制度について取り上げてきました。マインナンバーは極めてセンシティブな情報であり、そのために法律において各種の保護措置が取られている事は、前回のエントリーでご説明した通りです。

それらの保護措置の中で、今回は、事業者が講ずべき安全管理措置について取り上げたいと思います。前回に引き続き、「特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン(事業者編)」(以下「ガイドライン」、全文はこちら)の内容に基づいてご紹介していきます。 続きを読む

懲戒処分と降格人事の妥当性…セクハラにあたる言動とは

セクハラによる懲戒処分と降格人事の妥当性が争われる

最高裁「セクハラ発言処分妥当」 処分無効の二審判決破棄

大阪市の水族館「海遊館」の男性管理職が部下の女性にセクハラ発言をしたことをめぐり、出勤停止の処分が重すぎるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は26日、「管理職としてセクハラ防止を指導すべき立場だったのに、みだらな発言を繰り返し極めて不適切だ」として処分を妥当と判断した

二審判決は処分を「重すぎて酷だ」と無効としていたが、最高裁はこれを破棄し、無効確認を求めた男性側の請求を退けた。(2015年2月26日 14時1分 共同通信)

部下へのセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」)が原因で出勤停止の懲戒処分を受け、そのために降格させられた元管理職らが会社を訴えていた事件です。

使用者から労働者への懲戒処分については、労働契約法15条で以下のように定められています。 続きを読む