令和3年度 注目の助成金

令和2年度は「雇用調整助成金」と「働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)」が話題の中心となった1年間でした。その理由は、申し上げるまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大によるものです。

これら2つの助成金のうち、雇用調整助成金に関しては、令和3年4月30日まで特例措置(令和2年度と同様、労働者1人当たり1日15,000円を上限として休業手当等の最大10/10を支払う措置)が延長されています。本来ならばこの特例措置の支給上限額や支給率はもっと前の時点で引き下げられる予定でしたが、今年1月に東京等を対象にした緊急事態宣言が発せられたことで延長されました。今後における新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては更なる延長が有るかもしれません。

もう一方の働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)は令和2年度限りで終了となりました。この助成金は、職場において新型コロナウイルス関連の特別休暇制度を新たに設けると同時に、労働者が休暇を取りやすくなるような措置(作業効率を上げる機器の導入や休暇の取得促進に関する研修の実施など)に取り組んだ業主に対して経費の3/4(一定の条件を満たせば4/5、上限額あり)を支給するというものです。

このように、前年度注目の助成金が終了した、もしくは段階的に規模を縮小していく見通しの令和3年度ですが、今年度はどのような助成金が注目を集めるのでしょうか?

このページでは、それを皆さまにご紹介していきます。

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

令和3年4月1日から改正高年齢者雇用安定法が施行されるのに伴い、65歳以上への定年引上げ定年の定めの廃止希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入、他社による継続雇用制度の導入を行う事業主に対して支給される助成金です。

定年の引上げにおいて「70歳以上」という項目が新設されたこと、対象被保険者(60歳以上の雇用保険被保険者)数の区分が「10人未満」又は「10人以上」の2つに整理されたこと、定年の定めの廃止だけでなく70歳以上への定年引上げでも120万円又は160万円の助成金が支給されるようになったことが今年度の大きな変更点です。

前年度までは、例え定年の定めを廃止しても、対象被保険者数が1人か2人だと助成金の支給額が20万円にしかなりませんでした。そのため、小規模事業主が高年齢者の能力を活用したいと考えても、その後にかかるコスト等を考慮すると今一つ定年の廃止まで踏み切れないのが実態でした。

その点、今年度では、定年の廃止のみならず70歳以上への定年引上げでも120万円又は160万円の助成金支給対象となります。また対象被保険者数の区分は10人未満か10人以上の2つだけなので、対象被保険者数が1人か2人でも70歳以上への定年引上げで120万円の助成金が支給されます

このように、前年度から制度が大きく見直され、使い勝手が飛躍的に向上したのが65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)です。この助成金が持つ社会的な意義(高年齢者の活用促進)や取組のしやすさ、そして助成金の支給額等を考慮すると、この助成金こそ令和3年度における最も注目の助成金と言っても過言ではありません

当事務所でも重点的に取り扱っていく予定ですので、ご興味をお持ちの方は是非お気軽にお問い合わせください。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

令和2年度で職場意識改善特例コースが終了した「働き方改革推進支援助成金」ですが、職場意識改善特例コース以外にも使い勝手が良いコースが複数用意されています。

具体的には、「労働時間短縮・年休促進支援コース」、「勤務間インターバル導入コース」、「労働時間適正管理推進コース」(令和3年度より新設)、そして「団体推進コース」の4コースです。これらのコース毎に異なる成果目標(例えば勤務間インターバル導入コースなら、9時間以上又は11時間以上の勤務間インターバル制度を新たに導入することなど)の達成に向けて取り組んだ事業主に対し、その取組に要した経費の一部(3/4又は4/5)を支給するのがこの助成金です。

各事業主さまが抱える人事労務管理上の課題やニーズに基づいてコースを選んでいただくのが大前提ではありますが、前年度からの変更という意味で今年最も注目されるのは労働時間短縮・年休促進支援コースであると言えます。

この労働時間短縮・年休促進支援コースでは、病気休暇制度やボランティア休暇制度といった特別休暇制度の新規導入が成果目標の一つに設定されています。今年度は、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇と不妊治療のための休暇が新しく特別休暇に加わりました。この2つの休暇のうち、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇は、前年度における職場意識改善特例コースの成果目標でした。言わば、前年度からのコースの整理・統合と言えます。

今年1月に発出された2回目の緊急事態宣言から始まり、4月5日には3府県の計6都市がまん延防止等重点措置の対象となるなど、新型コロナウイルスの感染拡大は未だ終息の兆しを見せておりません。今後も感染拡大防止のための対策が求められると予想される中、令和2年度中に職場意識改善特例コースをご活用いただけなかった事業主さまには、労働時間短縮・年休促進支援コースの活用をご検討いただければと思います。

ただし、今年度から特別休暇制度は有給にしなければならなくなりました(前年度は無給でも可)のでその点はご注意ください。