新型コロナウイルス感染症対策助成金

4月28日時点の雇用調整助成金特例措置

新型コロナウイルス感染症の影響により労働者が解雇されるのを防ぐため、様々な特例措置が実施された「雇用調整助成金」ですが、その実態は迷走を極めています。

厚生労働省としても幅広くこの助成金を利用してもらうために添付書類の大幅削減や申請書類の簡略化といった取り組みを進めてはいるのですが、そもそもの制度が非常に複雑で膨大な証拠書類の提出が必要となるものだけに、多少手続きを簡略化したところでやはり複雑で利用しにくいといった印象を持たれてしまうようです。

また先週金曜日(4月24日)には、「休業手当の支払い率60%を超えた分は全額国が負担する」「休業要請に従って休業している事業主には休業手当の全額を支給する」などといったアナウンスもされており、更なる特例措置が行われそうな状況です。

とにかく目まぐるしく制度が見直されているため、事業主の方の中には「助成金を申請してから実際に支給されるまでの一連の流れを教えてほしい」「どんな書類をそろえれば良いのか分からない」「助成金がいくらもらえるのか知りたい」といったお考えをお持ちの方も多くおられるかと思います。

そこで本稿では、厚生労働省のホームページで公開されている「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)令和2年4月24日現在」(https://www.mhlw.go.jp/content/000625731.pdf)を参考に、助成金申請でポイントになる個所をピックアップしてご紹介します。

①助成金申請における一連の流れは?
 →休業計画を立てて会社と従業員が労使協定を締結し、「計画届」を都道府県労働局やハローワークに提出します。計画にそって従業員を休業させたら「支給申請書」を都道府県労働局等に提出します。
 ※本来ならば計画届が承認されてから休業を実施するのですが、新型コロナウイルス感染症対策の特例措置として計画届の事後提出が可能になっています。支給申請書との同時提出も可能です。

②支給申請などで必要になる書類は?
 →計画届の提出時と支給申請書の提出時でそれぞれ以下の書類の提出が必要になっています。
 《計画届の提出時》
  ・休業等実施計画(変更)届
  ・雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
   ※売上簿、営業収入簿、会計システムの帳票等(写しも可)
  ・休業協定書
  ・事業所の状況に関する書類
   ※労働者名簿や役員名簿等
 《支給申請書の提出時》
  ・支給要件確認申立書及び役員等一覧
  ・(休業等)支給申請書
  ・助成額算定書
  ・休業及び教育訓練実績一覧表
  ・労働及び休日の実績に関する書類
   ※出勤簿、タイムカード、勤務カレンダー、シフト表等
  ・休業手当及び賃金の実績に関する書類
   ※賃金台帳、給料明細書等

③助成金の支給率は?
 →中小企業は4/5、大企業は2/3
  ※解雇等を行わない場合、中小企業は9/10、大企業は4/3に引き上げられます。
 「休業手当」に上記の支給率をかけた額が、事業主に支給される助成金の額となります。なお、休業手当の計算式は以下の通りです。

 前年度1年間における賃金総額÷1ヶ月平均雇用保険被保険者数÷年間所定労働日数×休業手当の支払い率

 上記計算式のうち、「前年度1年間における賃金総額÷1ヶ月平均雇用保険被保険者数÷年間所定労働日数」をこの助成金では「平均賃金」と呼びます。また「休業手当の支払い率」は労使協定に定めた率である必要があります。

本稿では雇用調整助成金を支給申請するうえで特に重要な3つのポイントをご紹介しました。ですが、助成金を申請する際は他に注意すべき点も多々あります。その点はこのページでおいおいご紹介していきますので、引き続きお読みいただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

2020年04月28日

計画届提出時に必要な3つの書類

雇用調整助成金を受給するためには、計画届や支給申請書といった各種様式に併せていくつかの書類を提出する必要があります。助成金を受給するまでに「計画届の提出」と「支給申請」という2つの段階を踏む必要がありますが、それぞれの段階によって提出すべき書類も異なってきます。

そこで今回と次回の2回にわたり、「計画届の提出」と「支給申請」のそれぞれにおいて必要となる書類と、書類を用意する際の注意点を簡潔にご案内していきます。雇用調整助成金の申請手続きが更に変更されるとの告知(厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/press1401_202005061030.html)も出てはいますが、変更後の手続きが適用されるまでに多少の時間も要するかと思われるので、まずは現行制度における提出書類等をご案内することとさせていただきます。

今回は「計画届の提出」についてご案内します。
計画届を提出する際に添付しなければならない書類は、以下の3点です。
生産指標(「売上高」とほぼ同義)を確認できる書類
休業協定書
労働者名簿及び役員名簿(法人登記簿も可)

まず①の「生産指標を確認できる書類」ですが、これは計画届提出月の前月とその月の前年同月における売上高等を確認できる書類が必要となります。「売上高等を確認できる書類」とは、1ヶ月分の売上簿や営業収入簿、会計システムの帳票等を指します。
文章にするとわかりづらいかと思われますので、いくつか例をお示しします。

・今年5月の休業計画を同月に提出する場合→今年4月と昨年4月の売上簿等
・今年6月の休業計画を5月に提出する場合→今年4月と昨年4月の売上簿等
・今年4月の休業計画を5月に事後提出する場合→今年4月と昨年4月の売上簿等

このように、計画届の提出があった月の前月とその前年同月の売上簿等が必要になりますのでお間違えの無いようご注意ください。
また本来ならば売上等が前年同月比で10%以上減少していないと助成金の申請はできませんが、緊急対応期間(令和2年4月1日~同年6月30日)においてはこれが5%にまで緩和されています。

次に②の「休業協定書」ですが、これは従業員が実際に休業する日数や会社が従業員に支払う休業手当の金額等を明らかにする書類となります。いわばこの休業協定書に記されている内容によって助成金の支給額が左右されますので、その文言は実態を正しく反映させてください。
なお、事業主が既に就業規則を作成しており、その就業規則に休業手当の支給率が具体的に定められているようなケース(「労基法12条に定める平均賃金の6割」等)もあるかと思われますが、この助成金においては就業規則よりも休業協定の方が優先されます。すなわち、上記のようなケースでも休業協定に「平均賃金の8割払う」と定められていれば、平均賃金の8割×休業日数で支給額を計算しますのでご注意ください。

最後に③の「労働者名簿及び役員名簿」ですが、これは申請事業主が中小企業に当たるか否かを判断するために使用します。中小企業に当たるか否かは「資本金の額」又は「常時使用する労働者数」のいずれかで判断することとなり、中小企業に当たる労働者数等は業種によって異なります。
表にすると以下のようになります。

業種 資本金の額 常時使用する労働者数
小売業(飲食店を含む) 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下


以上、計画届の提出時に必要となる書類とその注意点をご案内しました。
今回ご案内したのはあくまでも基本事項ですので、実際に申請する際は提出先となる都道府県労働局やハローワークの担当者からの説明を十分にお聞きください。
次回は支給申請時に必要となる書類をご案内します。
最後までお読みくださりありがとうございました。

2020年05月07日

支給申請時に必要となる3つの書類

前回に引き続き、今回も雇用調整助成金の申請手続きについてご説明します。今回ご説明するのは、支給申請時に事業主が用意する必要がある書類とその注意事項です。

支給申請時には、支給申請書や助成額算定書(いずれも厚生労働省が作成した様式を使用)に併せて以下の書類を添付する必要があります。
労働・休日の実績に関する書類
休業手当・賃金の実績に関する書類
所定労働日・労働時間・休日や賃金制度を確認するための書類

①の書類として提出するのは、出勤簿やタイムカードといった従業員の勤務及び休業の実績を確認できる書類です。また助成金の対象事業所において変形労働時間制やシフト制などを採用している場合は、勤務カレンダーやシフト表なども併せて提出する必要があります。
雇用調整助成金は、申請事業主が従業員を休業させた日に対して支払った休業手当を国が補填する制度です。そのため、助成金を支給する国としては、従業員が実際に何日分休業したのかを把握する必要があるというわけです。

次に②の書類ですが、これは申請事業主が休業した従業員に対して実際に支払った給料や休業手当の額を確認するために添付する必要がある書類です。具体的には、給料明細書や賃金台帳がそれに該当します。
またこれらの書類は、申請事業主が支払った休業手当が労働基準法に定める最低限度を下回っていないか否かを判断するためにも用いられます。そのため、計画届を提出する際に添付した休業協定書に
労働基準法第26条に定める額を支給する
といった趣旨が定められている場合は、判定基礎期間を含め前4か月分の賃金台帳などを添付する必要が生じますのでご注意ください。

最後の③の書類は、休業した従業員に適用される所定労働日や所定労働時間、賃金制度などを確認するために必要な書類です。
前述したように従業員の休業日に支払われる休業手当の一部を補助するのが雇用調整助成金ですが、そもそもその従業員が仕事を休んだ日が本来なら労働日だったのか、それとも最初から休日として定められた日なのかを判別できなければ、その日に対して助成金を支給するべきか否かが判断できません。
そのため、判定基礎期間内に休業した従業員の所定労働日や所定労働時間などを特定する必要が生じるというわけです。具体的には、労働条件通知書や就業規則、変形労働時間制に関する協定書などが該当します。

以上の説明で、勘の良い方なら一つお気づきの点があるかと思います。
この雇用調整助成金は、判定基礎期間における賃金の締め切りとその支払いが終わらない限り、支給申請できない仕組みになっているのです。
この助成金の支給申請期限が、支給対象期間(判定基礎期間のうち支給申請するもの)後2か月以内となっているのはそのためです。
今年5月6日に仙台放送のニュース番組にて
(4月末の時点で)約6,500件の問い合わせが寄せられているのに対し、申請を受理したのは48件で支給決定に至ったのはわずか6件に過ぎない
という趣旨の報道がありましたが、これは雇用調整助成金の仕組み自体が要因の一つになっているかと思われます。

今回と前回の2回にわたり、雇用調整助成金についてご説明してきました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い制度の見直しを繰り返してきたこの助成金ですが、「休業手当の助成率を10/10にする」「提出書類を更に簡素化する」といった更なる見直しも予定されているようです。
(厚生労働書HP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html)
申請時にお間違えの無いよう、常に最新の情報をチェックすることをお勧めいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。

 

2020年05月16日