元作業員からの訴え…国はがんの発症に責任を負うか

福島第一原発元作業員からの訴え

社会保険労務士としてではなく、被災地に住む一人の人間として、見逃せないニュースを見つけました。2015年1月18日付、中日新聞朝刊の記事です。

胃と膀胱を全摘 「労災認めて」と訴え

(前略)

事故発生当初、福島第1で4カ月間作業し、その後、胃や大腸など3カ所でがんが見つかった札幌市の男性(56)は、被ばくが原因だとして労災と認めるよう訴えている

(中略)

12年春に血尿が出たため診察を受けると、膀胱(ぼうこう)がん。その1年後、東電の負担でがん検診を受けたら、大腸と胃にがんが見つかった。東電や厚生労働省の窓口に相談したが、「因果関係がわからない」とたらい回しにされたという。

転移でなく3カ所もがんが見つかったのは、被ばくが原因として、男性は13年8月に労災を申請。一方で胃と膀胱を全部摘出し、大腸がんも切除。重度障害者の認定を受けた。

男性は「国や東電は検査を受けろと言うが、労災が認められなければ治療は自費。命懸けで作業をしたのに使い捨てだ。働きたくても働けない。個人では因果関係を立証できない。国は調査するなら徹底的にしてほしい」と語った。

(後略)

福島第一原発において、がれきの撤去作業にあたっていた元作業員の男性(以下、「元作業員」)からの訴えです。原発事故の発生以来、放射線量の急激な増加により、福島第一原発敷地内と周辺地域でがんの発生率が上昇すると懸念されていた事は、皆さんもご存じのことでしょう。ついにその心配が現実のものになってしまったか、という不安を感じさせるニュースです。 続きを読む