民事裁判や労働審判ではなくあっせんで解決を図るメリットは何ですか?

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民事裁判や労働審判とは異なり、都道府県労働局や都道府県労働委員会のあっせん制度は全ての方が無料で利用できます。この点はあっせん制度を利用する大きなメリットといえるでしょう。

また民事裁判などと比べ、解決までに要する時間を大幅に短縮できるのもあっせん制度の魅力です。最近では民事裁判でも解決までに要する時間が短くなりつつありますが、それでも年単位の時間を要することがほとんどです。なぜこれ程までに時間がかかるかと言うと、何らかの結論を出すまでに複数回の審議を行うからです。一方で、あっせん制度の場合は原則として1回限りの審議で解決を図ることとなっています。よって話がスムーズに進めば、2~3か月程度で事件を解決することも可能です。

もっとも、無料かつ短期間で事件の解決を図るという制度の性質上、相手方(ほとんどの場合は会社)にあっせんへの参加義務が課されていないというデメリットも存在します。すなわち、いくら都道府県労働局などにあっせんを申し立てても、会社側がそれに乗ってこなければそれで話が終わってしまうということです。

あっせん制度を利用して紛争解決を図るか、それとも労働審判など別の手段に委ねるのかは事案の性質に応じて判断することとなります。

2022年8月9日