働き方改革推進支援助成金~労働時間短縮・年休促進支援コース~

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 今回から、令和3年度の働き方改革推進支援助成金において用意されている様々なコースの内容をご紹介していきます。

 第1回は「労働時間短縮・年休促進支援コース」です。

 このコースは他と異なり、1つのコースの中に複数の成果目標が設定されています。その内容は以下の通りです。
 ①全ての対象事業場において、既存の特別条項付き36協定で設定されている時間外労働及び休日労働の上限時間を一定以下に短縮して管轄労基署に届け出ること。
 ②全ての対象事業場において、ガイドラインに規定された特別休暇制度(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、その他特に配慮を必要とする労働者のための休暇)のいずれか1つ以上の規定を就業規則にて新たに導入すること。
 ③全ての対象事業場において、時間単位年休制度を就業規則にて新しく規定すること。

 前回までの投稿でご紹介したように、助成金の支給額は成果目標の達成に要した経費の3/4(一定の条件を満たせば4/5)です。支給額の上限は成果目標の達成度合いによって異なり、①を達成した場合は時間外労働時間等の短縮状況によって50万円又は100万円、②と③を達成した場合はそれぞれ50万円となります。

 つまり①~③を一度に全て達成した場合、最大で助成金の支給上限が200万円にもなるのです。このように、支給上限額がかなり高めに設定されているのがこのコースの魅力の一つとなっています。もちろん成果目標を1つだけにする事業計画でも何ら問題ありません。

 また②と③の成果目標については、新たに導入した特別休暇制度や時間単位年休を実際に使わせることまで求められていません。就業規則にて新たな規定が設けられ、その就業規則が事業実施計画期間内に施行されていれば、それだけで成果目標を達成したことになります。他の助成金、例えば両立支援等助成金では、休暇制度等を就業規則に規定するだけでは足りず実際に取得させることまで求められるのと比べると、このコースがいかに取り組みやすい助成金であるかが窺えます。

※就業規則に定めた特別休暇や年休は
 きちんと使わせましょう。

 このように、事業実施計画の内容次第で高額の助成金を受給できる可能性が秘められており、且つ成果目標の達成に向けた取り組みも比較的実施しやすく設定されているのがこの助成金です。働き方改革推進支援助成金という枠組みに留まらず、厚生労働省の助成金制度全体で考えてみても、かなり魅力的な制度と言えるでしょう。

 なお、前年度からの変更点は以下の3つです。
 ①助成金の支給回数が成果目標ごとに1事業主1回と定められたこと。
 (例えば令和2年度に成果目標①の達成で100万円の助成金が支給されていても、②や③が未達成なら再度の支給申請が可能になる。)
 ②特別休暇として新たに「その他特に配慮を必要とする労働者のための休暇(新型コロナウイルス感染症対応のために必要となる者への休暇又は不妊治療を行う者の為に付与される休暇など)」が設けられたこと。
 ③有給の特別休暇でなければ成果目標を達成したとは見なされなくなったこと。(令和2年度までは無給でも成果目標の達成と見なされていた。)

 次回は「勤務間インターバル導入コース」をご紹介します。

 最後までお読みくださりありがとうございました。