パワハラ対策導入マニュアル…7つの取り組みとは

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「対策導入マニュアル」が新たに追加

厚生労働省の委託事業として開設されたポータルサイト、「あかるい職場応援団」。このサイトからパワーハラスメント(以下「パワハラ」)に関する様々な情報が発信されていることは、以前のエントリーでもご紹介しました。

「あかるい職場応援団」にはダウンロードコーナーが設けられており、そこにアップロードされているパンフレットや各種様式は、パワハラへの理解促進や社内研修に活用する事ができます。

去る5月15日、ダウンロードコーナーに新たなパンフレットが追加されました。それが、「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(以下「対策マニュアル」)です。こちらのページから無料でダウンロードする事が可能となっている他、各都道府県労働局やお近くの労働基準監督署で冊子を入手する事もできます。

もっとも、冊子として配布する部数は限られている(全国で5万部程度)ようなので、必ずしも誰もが確実に入手できる訳ではありません。ファイルをダウンロードしてパソコンやタブレットなどの画面で閲覧したり、プリンタで印刷して紙で読む方がより確実でしょう。

対策マニュアルでは、パワハラ対策の基本的な枠組みを構築するために、以下の7つの取り組みを紹介しています。

  1. トップのメッセージ
  2. ルールを決める
  3. 実態を把握する
  4. 教育する
  5. 周知する
  6. 相談や解決の場を設置する
  7. 再発防止のための取り組み

今回のエントリーでは、上記の7つの取り組みの概要についてご案内いたします。

7つの取り組みの内容とは

1.トップのメッセージ

代表取締役など、企業のトップからのメッセージという形で「職場のパワハラは失くすべきものである」という方針を明確に打ち出します。このメッセージには、「パワハラは重要な問題である」「パワハラ行為は許さない」などといった要素を含む事が重要になります。

2.ルールを決める

就業規則や社内規定等の文書で、パワハラ行為に対し、懲戒規定に基づく厳正な対処をとる旨を定めます。また、労使協定を締結し、労使で協力して働きやすい職場を作り上げる方法も考えられます。

3.実態を把握する

従業員に対し、職場の実態を把握するためのアンケートを実施します。パワハラ対策の枠組み構築前の実態を把握する用途の他、枠組み構築後の効果を検証する目的でも活用できます。従来の紙ベースでのアンケートの他、無料(または低額)サービスによるインターネット上での実施も可能です。

4.教育する

パワハラについて教育するための社内研修を実施します。一般従業員向けと管理監督者向けとで内容を分ける方が望ましいですが、規模が小さい会社については全従業員を対象とした研修にしても問題ありません。

7つの対策の内、「1.トップのメッセージ~5.周知する」は予防対策、「6.相談や解決の場を提供する~7.再発防止のための取り組み」は事後対策に分けられます。対策マニュアルでは、5つの予防対策の中で、最も効果が期待できるのが社内研修の実施であるとしています。

5.周知する

トップのメッセージや就業規則におけるパワハラに関する記述、相談窓口の設置等について従業員にもれなく周知することが必要です。それも「就業規則の文言を追加しておいたから各自勝手に見ておいてくれ」という投げやりなものではなく、より積極的・能動的に周知することが大事になります。

6.相談や解決の場を提供する

実際にパワハラが起きてしまった場合に、従業員が相談できる窓口を設置します担当社員を配置して社内に相談窓口を設置するほか、管理職が相談に応じたり、外部の専門家による窓口を設置する方法が考えられます。いずれのやり方にも一長一短が有るので、社内事情に応じて適切な手段を選ぶ事が肝要です。

7.再発防止のための取り組み

職場でパワハラが発生した場合、行為者への処分や被害者の配置転換といった解決策を講じます。それらの手段が功を奏し、問題が解決したとしても、それで終わりではありません。同じような問題が再び生じることが無いよう、対策をとることが求められます。

具体的には、パワハラ行為者への研修の実施や管理職への注意喚起、職場環境の改善といった方法が考えられます。

社会保険労務士が、パワハラ対策のためにお手伝いできること

以上、7つの取り組みについてご紹介してきました。当ブログでは概要のご案内に留めましたが、対策マニュアルではこれらの取り組みについて、より具体的かつ詳細な内容が記されています

全43ページ+参考資料数点という決して少なくはない分量ですが、その全文をお読みいただくようお勧めさせていただきます。こちらのページによれば、厚生労働省による無料セミナーも開催されるようなので、そちらを活用なさるのも良いでしょう。

社会保険労務士としては、7つの取り組みの中で「就業規則や職場の服務規律によるルールの設定」や「社内研修の実施」「専門家による外部相談窓口」に関与することが可能です。対策マニュアルの中でも、社労士による研修の実施等について触れられている箇所が有ります。

これらの取り組みの中でも、とりわけ「就業規則や社内規定の新規作成・変更」に対しては、社労士がその専門性を存分に発揮します。それは単に法律知識等を身に付けるだけでなく、「現場の空気」を実際に体感しているからこそ可能になるものです。

当事務所でも、就業規則や社内規定の新規作成等には力をいれて取り組んでいます。ご用命の際は、どうぞこちらまでお問い合わせになってください。