働き方改革推進支援助成金が人気を集める3つのポイント

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 前回の投稿では、厚生労働省の助成金の中でも特に人気を集めている「働き方改革推進支援助成金」の大まかな内容をご紹介しました。

 今回は、働き方改革推進支援助成金が人気となっている理由を3つに絞ってご案内していきます。

①支給要件がそれほど厳しくなく、申請までのハードルが高くない

 極論になりますが、働き方改革推進支援助成金の支給要件は「成果目標の達成」という一点に絞られると言っても過言ではありません。厳密に言えば「労働保険料を滞納していないこと」や「労働基準法等の法令違反が無いこと」といった要件も設けられてはいるのですが、それは他の助成金も同じことです。

 この「成果目標の達成」ですが、これは前回の投稿でもご紹介したように勤務間インターバル制度の新規導入特別休暇制度の新規導入などを差します。ではどのようにすれば「成果目標を達成した」、言い換えれば勤務間インターバル制度などを導入したとみなされるのでしょうか?

 実のところ、これは就業規則の文言のみ(成果目標によっては労使協定なども判断材料になる場合も有ります。)で判断されることとなります。例えば勤務間インターバル制度の新規導入が成果目標となっていれば、そのことを定めた条文を一つ付け加えるだけで成果目標を達成したとみなされるのです

 他の助成金では「非正規雇用から正社員に転換した後に給料を一定以上引き上げる」(キャリアアップ助成金)とか「事業場で働く労働者全体の給料を底上げした後、底上げされた額の給料を一定期間払い続ける」(業務改善助成金)といった支給要件が設けられていることを考えると、働き方改革推進支援助成金の支給要件はかなり容易な方に分類されます。このハードルの低さが、人気を集める要因の一つなのです。

②比較的短期間で助成金が支給される

 前回の投稿で、この助成金を申請するには事業実施計画の策定が必要であるとご説明しました。では、この事業実施計画の期間はどのように定めなければならないのでしょうか?半年間や1年間といった一定以上の期間を設ける必要があるのでしょうか。

 結論から言えば、事業実施期間は何ヶ月でも構いません。実施期間の最終日だけは「令和4年1月31日まで」と定められているものの、それまでに終了する計画であれば申請事業主が好きなように期間を定めることができます。

 極端な話、事業実施計画で予定された取組の全てを終了できるのであれば、計画期間は1ヶ月程度でも構わないのです。労働局に提出された助成金申請書の審査期間は通常であれば1ヶ月程度なので、計画期間の設定や事業の進捗状況次第では、労働局に事業計画書を提出してから最短3~4ヶ月程度で助成金を受給することも可能です

 他の助成金では最初に申請書を提出してから最終的に助成金が支給されるまで1年以上かかるものもあることを考えると、き方改革推進支援助成金は助成金が支給されるまでに要する時間がかなり短い方だと言えます。このスピード感も人気の理由の一つです。

③幅広い経費が助成金の支給対象になり得る

 この助成金は、成果目標の達成に向けた取組に要した経費を補填する形で支給されます。言い換えれば、何らかの経費が生じるような事業計画になっていない限り助成金をされることは無いのです。

 先ずは何らかの経費を支払わなければならない、という点についてガッカリされる方もおられるかもしれませんが、この助成金における「経費」は実に幅広く支給対象として認められます

 特に広い範囲で支給対象となるのが、助成対象となる経費のうち「その他の労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新の事業」です。これは平たく言うと、労働者の作業時間を短縮したり労働能率を上げたりしてくれるような便利な設備・機器を導入するというものです。

 そうなると何をもって作業時間の短縮等につながると言えるのか、が問題になります。ともすれば、かなりシビアに判断されるのではないか、余程しっかりした理由が無いと認めてもらえないのではないかと考えがちですが、実はかなり広い範囲で認められているのです

 厚生労働省のホームページで公開されている例に絞っても、「繊維業を営む会社が新たに工業用ミシンを導入した」「学習塾を経営する会社が塾生の情報を管理するシステムを導入した」といったものが支給対象事例として紹介されています。ホームページでは紹介されてませんが、実際には「土木建設業の会社がダンプカーを増台した」といった事例も支給対象になっているのです。

 これだけ幅広く支給対象として認められているのですから、どんな業種であっても、何かしら助成金の支給対象となり得る経費を出すことができるのではないでしょうか。この間口の広さも、人気を集める理由となっています。

 以上、働き方改革推進支援助成金が人気を集める理由を3点に絞ってご案内してきました。これだけ見ると良いことづくめの助成金であるかのように思われるかもしれませんが、そうそう甘い話ばかりでもありません。この助成金にもいくつかの注意点がございます。次回の投稿ではその注意点についてご説明していきたいと思います。

 最後までお読みくださりありがとうございました。