働き方改革推進支援助成金~団体推進コース~

 今回は「団体推進コース」をご紹介します。

 これまで取り上げてきた3つのコースは、いずれも一つの中小企業事業主が申請の主体になっていました。団体推進コースはそれらと異なり、事業協同組合や商工会議所、一般社団法人といった事業主団体が主体となって実施する働き方改革の取組に対して助成金が支給される制度になっています。

 このコースの対象となる事業主団体は、事業協同組合や信用協同組合、商工会議所、商工会、そして一般社団法人や一般財団法人といった法律に規定する団体は勿論のこと、構成事業主が10以上で組織され、共同する全ての事業主の合意に基づく協定書が締結されている共同事業主も含まれます。

 ただしいずれの団体であっても、1年以上の活動実績が有ることが求められますのでその点はご注意ください。要は、この助成金を受給することだけを目的に慌てて事業主団体を結成しても助成金は支給されないということです。

続きを読む

働き方改革推進支援助成金~労働時間適正管理推進コース~

 今回は「労働時間適正管理推進コース」をご紹介します。

 このコースは、前回まで取り上げた2つのコースと異なり、令和3年度になって新しく設けられたコースです。申請マニュアルや交付要綱などといった文書では明言されていませんが、その成果目標から推測するに、改正民法の施行により未払い残業代の消滅時効が延長された(従来の2年から暫定的に3年へ延長)ことを踏まえての新設ではないかと思われます。

 その成果目標ですが、以下に掲げる3つの取組を全て実施することが求められています。

  1.  新たに勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理IT システムを用いた労働時間管理方法を採用すること。
  2.  新たに賃金台帳等の労務管理書類(労働基準法第109 条に基づく記録の保存が義務づけられている書類のことをいう。)について5年間保存することを就業規則等に規定すること。
  3.  「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29 年1月20 日策定)に係る研修を労働者及び労務管理担当者に対して実施すること。

 この成果目標を眺めていると以下のような疑問が生じてきます。

続きを読む

働き方改革推進支援助成金~勤務間インターバル導入コース~

 前回に引き続き、令和3年度における働き方改革推進支援助成金のコース内容をご紹介していきます。
第2回は「勤務間インターバル導入コース」です。

 このコースの成果目標は、全ての対象事業場において休息時間が9時間以上11時間未満又は11時間以上の勤務間インターバルを導入することとなっています。

 ここで言う「休息時間」とは、一日の勤務の終業時刻から次の勤務日の始業時刻までの時間を差します。例えば所定労働時間が9:00~18:00(休憩1時間)で週所定労働日数が月~金の5日と定められている職場であれば、月曜日の18:00に仕事を終えてから火曜日の9:00に仕事を開始するまでの時間が一つの休息時間ということになります。

 この休息時間は所定労働時刻だけで決まるものではなく、遅刻・早退や残業などによる始業・終業時刻の変動によって変わります。例えば先ほどの例において、月曜日に1時間の残業をして終業時刻が19:00になった場合は、月曜日の19:00から火曜日の9:00までが休息時間ということになります。

続きを読む

働き方改革推進支援助成金が人気を集める3つのポイント

 前回の投稿では、厚生労働省の助成金の中でも特に人気を集めている「働き方改革推進支援助成金」の大まかな内容をご紹介しました。

 今回は、働き方改革推進支援助成金が人気となっている理由を3つに絞ってご案内していきます。

①支給要件がそれほど厳しくなく、申請までのハードルが高くない

 極論になりますが、働き方改革推進支援助成金の支給要件は「成果目標の達成」という一点に絞られると言っても過言ではありません。厳密に言えば「労働保険料を滞納していないこと」や「労働基準法等の法令違反が無いこと」といった要件も設けられてはいるのですが、それは他の助成金も同じことです。

 この「成果目標の達成」ですが、これは前回の投稿でもご紹介したように勤務間インターバル制度の新規導入特別休暇制度の新規導入などを差します。ではどのようにすれば「成果目標を達成した」、言い換えれば勤務間インターバル制度などを導入したとみなされるのでしょうか?

続きを読む