長時間労働を招く?残業代ゼロ法案

残業代ゼロ法案の内容と様々な反応

昨今のマスメディアを賑わせている、いわゆる「残業代ゼロ法案」。その法案の内容には、以下のような特徴が有ると報道されています。

  • 労働時間の長さではなく、成果に対して賃金を支払う制度
  • 労働時間の総枠に制限を設けるタイプと、制限を設けないタイプの二種類に分かれる
  • 年収1,000万円以上の専門職は、労働時間の総枠に制限を設けないタイプの対象
  • 制度の対象となる労働者が、自らの希望によってタイプを選べる

これらの特徴の内、「年収1,000万円以上」という要件については、『対象者は幹部候補に限定した上で、年収要件は設けない方向に修正する』と報じるマスメディアも有るようです。 続きを読む

長時間労働に悩む労働者の方へ…特別条項付き36協定とは

数多く寄せられる、長時間労働の相談

「毎日朝早くから夜遅くまで働かされ、休みもロクに取れない」

「1か月の勤務時間を自分で付けて集計してみたら、残業時間が100時間を超えた。こんな職場は異常ではないか」

私が労働基準監督署で相談員を務めていた頃、このような相談が数多く寄せられました。ちょうど私が学生だった頃から「過労死」という単語がマスメディアで取り上げられるようになり、世界的に見ても異常な労働時間の長さが大きな社会問題となりました。あれから何年もの月日が経ち、少しは労働環境もマシになったかと思いきや、一向に状況は改善していないようです。 続きを読む

通知カードの受領拒否でマイナンバーは破綻する!?

twitterで広まっているつぶやきとは

最近、twitterにて、以下のようなつぶやきが拡散されているようです。

政府が一番恐れているのがマイナンバーの受け取り拒否です。 各家庭へ簡易書留で送られてくるので、不在だったら不在票がポストに入れられます。 7日以内に郵便局へ取りに行くか再配達を指定しないと、政府へ返却されます国民の過半数が拒否したら、マイナンバー、終わります。

今年10月から個人に対するマイナンバーの通知が始まる事、そしてその通知カードは簡易書留郵便で各世帯に発送される事はこのブログでも既に取り上げました。 続きを読む

通知カードの受け取りを拒否しても刑罰の対象にはならない!?

通知カード受領拒否への関心の高さ

ブログやwebサイトを開設している皆さんの多くがそうであるように、私もgoogleアナリティクスを導入して当サイトの大まかなアクセス解析をしています。もっとも、私の文系脳では表示されるデータの全てが理解できているわけではありませんが…。

それはさておき、アクセス解析をして驚かされるのが「マイナンバー 拒否」「マイナンバー 受け取り拒否」といった検索ワードで当ブログを訪れる方が大変多いという事実です。これまでブログで公開してきた記事の中に「通知カードの受領拒否でマイナンバーは破綻する!?」というのが有るのですが、どうやらこの記事がgoogle検索結果の上位に表示されている様子。 続きを読む

辞職の意思表示…どうしても辞めたい時には

前回のエントリーでは、社長や店長といった人達(使用者)からの許可を得なくても仕事は辞められること、労働者からの一方的な退職通告(辞職の意思表示)はおおむね2週間後に有効となることを説明しました。

今回は、実際に辞職する際のノウハウについて書いてみたいと思います。

まず最初に、これだけは絶対にしてほしくない方法。それは、使用者に一言も『辞める』という意思表示をしないまま、ある日突然職場に出勤しなくなってしまう事、いわゆる「バックレ」です!これは本当に周りの人が迷惑します。何も意思表示をしないままで出勤してこないと、使用者としては無断欠勤なのか、それとも退職してしまったのかの判断が非常に困難です。 続きを読む

職場でのパワハラ行為に対して懲戒処分ができますか?

 先日、パワーハラスメント(いわゆるパワハラ)に関して或る事業主様からご相談を受けていた時の話です。その事業主様は、相談の途中でこんな事を仰いました。

 「どんな行為がパワハラに当たるのか、もっと具体的な判断基準は無いのですか?

 皆さまも既にご存じの通り、今年4月1日から中小企業にもパワハラ防止措置を講じる義務が課されることになりました。これにより、全ての事業主は「パワハラに関するトップメッセージの発信」「パワハラ相談窓口の設置」「パワハラ発生後の迅速かつ適切な対応」などといった各種取組を進めていかなければならないのです。

 冒頭のご質問は、パワハラ防止措置のうち「職場のパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応」について当方がご説明している最中に発せられました。

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競業避止義務、その問題の本質とは

労働相談の現場では、相談員の頭を悩ます難しい問題にしばしば直面します。

具体的には、私傷病による休職制度の検討や、営業成績が振るわない社員への降格措置の妥当性転居を伴う配転命令の是非といった問題です。これらに共通しているのは、「明確で分かりやすい基準が存在しない」ということ。

賃金未払いやサービス残業、最低賃金を下回る賃金といった問題に対しては、労働基準法24条、同法37条、最低賃金法4条という明確な基準が有りますので、「法違反ですから労基署に申告してみてはどうですか」という結論を比較的容易に導き出すことができます。しかし、前述した「明確で分かりやすい基準が存在しない問題」については、こういった基準を当てはめて考える事が出来ないので、相談者に対してどのようにアドバイスをするべきか、相談員は頭を悩ませることとなります。 続きを読む

社会保険労務士兼ファイナンシャルプランナーとして…今後の執筆方針

事務所名に込めた想い

当事務所の名称は「FP&SR オフィスONE」(エフピーアンドエスアール オフィスワン)といいます。アルファベットとカタカナが混在した抽象的なネーミングで、自分でも「ちょっと気取りすぎたかな」と思うことが無いわけではありません。またこのような名称にしている社労士事務所に対して実態のイメージが湧かず、仕事の依頼に躊躇される方も中にはいらっしゃることでしょう。

しかしながら、当事務所の名称を変える予定は今のところ有りません。なぜなら、私が開業した当時に抱いた「既存の社労士事務所には無いサービスを提供できる事務所でありたい」という想いが込められた名称だからです。社労士事務所が引き受ける代表的な仕事は、官公庁に提出する書類の作成及び提出代行業務(いわゆる1号業務)、賃金台帳などの各種帳簿を作成する業務(2号業務)、人事労務管理のアドバイス(3号業務)の3つに大別されます。もちろん、当事務所でもこれらの業務は取り扱っておりますが、私はこれらに加えて「郵便局員として保険の販売業務に携わってきた経験を生かせるような仕事がしたい」と常々考えておりました。 続きを読む

社会保険労務士と宮城県の事業所…関与の余地は

宮城県における社会保険労務士の現状

突然ですが、宮城県社会保険労務士会には何人の社会保険労務士が登録しているかご存じでしょうか?

私の手元に在る『社労みやぎ』(宮城県社会保険労務士会員向け広報誌、年2回刊行)によれば、平成27年1月1日現在の登録数は個人会員が526名、法人会員が9名とのことです。個人会員526名の内146名が、何らかの企業に勤めている「勤務登録」となりますので、自ら事務所を構えている「開業登録」の会員は380名ということになります。

他士業を例に挙げると、宮城県の税理士は約950名で税理士法人は約40(東北税理士会ホームページより)であるようです。また、宮城県司法書士会のホームページで公開されている名簿によれば、個人の登録番号は700番台に達し、法人会員数は16に及びます。 続きを読む

生活残業、会社と従業員との認識のズレ

会社を悩ませる「生活残業」

労働基準法なんか守っていたら、ウチの会社はつぶれてしまう

多くの中小企業経営者から聞かれる言葉です。

この言葉には様々な思いが込められていると思います。人手が足りない、会社の経営が苦しい、景気の先行きが不安だ…等々。そしてその中には、こんな考えも有るのではないでしょうか。

残業に対していちいち馬鹿正直に割増賃金を払っていたら、それを目当てにダラダラと会社に残り続ける従業員が続出する

いわゆる「生活残業」という代物です。従業員からすれば、同じ仕事をするにしても、短い時間で済ませるより長い時間をかけた方がより多くの賃金をもらえるのならば、誰もがそうしようと考えるのはごく自然なことと言えるでしょう。 続きを読む