辞職の意思表示…どうしても辞めたい時には

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前回のエントリーでは、社長や店長といった人達(使用者)からの許可を得なくても仕事は辞められること、労働者からの一方的な退職通告(辞職の意思表示)はおおむね2週間後に有効となることを説明しました。

今回は、実際に辞職する際のノウハウについて書いてみたいと思います。

まず最初に、これだけは絶対にしてほしくない方法。それは、使用者に一言も『辞める』という意思表示をしないまま、ある日突然職場に出勤しなくなってしまう事、いわゆる「バックレ」です!これは本当に周りの人が迷惑します。何も意思表示をしないままで出勤してこないと、使用者としては無断欠勤なのか、それとも退職してしまったのかの判断が非常に困難です。

ある日突然職場に来なくなったので退職したものと思い、ハローワークや年金事務所にその旨の届け出を済ませた後、当の本人がノコノコと職場に出てきて『辞めたつもりは有りませんでした。無断欠勤してただけなんで』なんて言ってきたら、使用者がどれだけ面倒な思いをするのか考えてみたことは有りますか?

上司に面と向かって『辞める』と言ったらどんな反応が返ってくるか分からない、上手く言いくるめられてしまいそうで怖い…その気持ちはよく分かります。しかし、前回も述べたように、労働者が自分の意思で辞職することは(職場に迷惑をかけることが目的でない限り)全くもって正当な権利の行使です。本当に職場を辞めたいのなら、臆することなくしっかりと自分の意思を相手に伝えてください。

それでも、面と向かって辞職を告げるのはどうしても無理だ、というのであれば、手紙などの書面による伝達でも大丈夫です。口頭での意思表示に、書面の提出も併せて行えば理想的と言えます。ただし、職場で使っていたロッカーや机に置手紙をしておくのは避けてください。使用者に辞職の意思表示が伝わらないおそれが有るため、後で『そんな手紙のことは知らない』と言われてしまったら話がややこしくなってしまいます。辞職届を直接手渡すのが難しいのであれば、例えば書留郵便などの記録が残る方法(できれば内容証明)で送達する、というのも一つのやり方でしょう。

辞職の意思表示をしてから2週間後に効力が発生するので、その間はどうするか?という問題が生じますが、この場合はたとえば、未消化の有給休暇を消化する、という方法が考えられます。辞職の意思表示に併せ、有給休暇の申請も行いましょう。仮に使用者が年休として扱わなければ労基法39条違反です。もし有給が無ければ、退職日まで出勤して働くか、あるいは欠勤することになります。この場合は、欠勤による懲戒処分云々の話も出てきそうなので、面倒なことになるかもしれませんね。

以上見てきたように、一度就いた仕事を辞めることには、それなりの困難が伴います。辞職届を出す前に、辞めることが本当にベストの選択肢なのか考えてみるのも良いのではないでしょうか。

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