ブラックバイト問題、使用者側からの反論

 ブラックバイトとは

アルバイトとして働いているにも関わらず正社員と変わらない責任やノルマを押し付けられる、空いた時間にシフトを次々に入れられてしまい学業との両立ができない、仕事を辞めたいと言ったら「損害賠償請求するぞ」と脅された…。

いわゆる「ブラックバイト」が大きな社会問題になりつつあります。

ブラックバイト問題が広まるにつれて、労働問題に詳しい弁護士の先生が、労働法の正しい知識を広めるべく学生相手にセミナーを開いたり、学生自らが労働組合(学生ユニオン)を結成する、などといった動きも徐々に出てきているようです。 続きを読む

パート労働者は法改正で救われるか

  来年4月より、パートタイム労働法が改正

平成26年4月16日に成立し、同月23日に公布された「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律(以下「改正パートタイム労働法」)」。来年4月1日の施行日に備え、厚生労働省のwebサイトでは「パートタイム労働法の改正について」というページの中でその概要条文新旧対照表等を公開しています。

短時間労働者(以下「パート労働者」)をめぐっては、正社員と変わらない職責を負わされているにも関わらず、非正規労働者であることだけを理由として不当に低い賃金で働かされている、いわゆる「ブラックバイト」が社会問題になっています。パートタイム労働法の今回の改正は、そういったブラックバイト問題の改善に向けた一歩となり得るのでしょうか? 続きを読む

パワハラ自殺訴訟…福井地裁のケース

・福井地裁の判決

今朝8時ごろに配信されたyahoo!ニュースの中に、こんな記事が有りました(一部抜粋)。

消火器販売などの「暁産業」(福井市)で勤務していた男性社員=当時(19)=が自殺したのは上司のパワーハラスメント(パワハラ)が原因として、男性の父親が損害賠償を求めた訴訟で、原告の主張を認めて会社と直属の上司に約7200万円の支払いを命じた福井地裁の判決について、原告側が15日までに名古屋高裁金沢支部に控訴した。控訴は12日付。

判決は、男性が手帳に書き残した上司の発言を「典型的なパワハラ」と認定し、会社と、この上司に損害賠償の支払いを命じた。管理職の上司への請求は「パワハラの実態を把握するのは困難だった」と退けた。

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年次有給休暇を使うために必要なこと

労働者の切実な悩み

「年次有給休暇(以下「有給休暇」)を使わせてほしい」

労働相談の現場で皆様から寄せられるご相談や、労働問題を取り扱っているwebサイト、検索キーワード等から察するに、「有給休暇を使いたくても使えない」というお悩みを抱えていらっしゃる方が多くいらっしゃるように思われます。

労働者の意識の変化に伴い、「仕事だけが人生の全てではない」という価値観が広く浸透してきた一方で、慢性的な長時間労働や休日労働により若者を「使い捨て」にする企業(いわゆるブラック企業のことを、厚生労働省ではこう表現しています)が、いまだ数多く存在しています。こういった企業で働き続け、精神的にも肉体的にも限界に近付きつつある労働者が、「少しぐらい休ませてほしい」と考えるのは至極当然と言えるでしょう。 続きを読む

パワハラについて、改めておさらいを

パワハラをめぐる現状

社会人としてすでに働いていらっしゃる方、もしくはこれから社会に出て働こうとする学生の方で、「パワー・ハラスメント」(以下「パワハラ」)という言葉を聞いたことが無い方はほとんどいらっしゃらないと思います。

数年前、初めて「パワハラ」という言葉がマスメディアに取り上げられた時には、主に使用者側から

この程度の言動がパワハラ扱いされるのか

仕事は辛くて当たり前、こんなことまで役所に口出しされては現場は立ち行かくなる

といった言葉が多く出されていたように記憶しています。しかし、「パワハラ」はその後も死語となることなく、世間に広く浸透していきました。今や、職場の問題を象徴する言葉として、「セクハラ」に比類するほどの浸透度合いと言って差し支えないと思います。 続きを読む

競業避止義務、その問題の本質とは

労働相談の現場では、相談員の頭を悩ます難しい問題にしばしば直面します。

具体的には、私傷病による休職制度の検討や、営業成績が振るわない社員への降格措置の妥当性転居を伴う配転命令の是非といった問題です。これらに共通しているのは、「明確で分かりやすい基準が存在しない」ということ。

賃金未払いやサービス残業、最低賃金を下回る賃金といった問題に対しては、労働基準法24条、同法37条、最低賃金法4条という明確な基準が有りますので、「法違反ですから労基署に申告してみてはどうですか」という結論を比較的容易に導き出すことができます。しかし、前述した「明確で分かりやすい基準が存在しない問題」については、こういった基準を当てはめて考える事が出来ないので、相談者に対してどのようにアドバイスをするべきか、相談員は頭を悩ませることとなります。 続きを読む

就業規則は会社の敵?味方?

ここしばらく、労働者側の視点に立った記事が続いていましたので、今回は会社側から見た問題を取り上げてみましょう。

仕事の現場で就業規則はどう扱われているか

私自身が見聞きした話もそうですし、他の社労士の先生方からお聞きした話もそうなのですが、会社経営者の方々には「就業規則は労働者になんか見せない」「鍵のかかる金庫や引き出しの中に仕舞ったまま」という人が少なくないようです。

おそらく、就業規則を労働者に見せてしまうことで、無暗やたらに年次有給休暇を要求されてしまったり、法外な額の残業代を支払うよう請求されてしまうのではないかという不安から、そのような行動に出てしまうのではないかと推測します。 続きを読む

未払い残業代請求のポイント③…金額をどのように計算すべきか

前回、前々回と、未払い残業代請求においてポイントとなる論点を取り上げてきました。今回はその最終回です。就業時間の記録労働時間の定義の他にポイントとなるのは、どのような論点なのでしょうか?

未払い残業代の金額はどのように計算すべきか

法律上の「労働時間」に該当する時間が何時から何時までであるかを確定し、それを月単位で集計して各月の総労働時間を算出した後は、それを具体的な金額に計算しなおす作業が必要が有ります。

この未払い残業代の計算において重要となるのが、所定労働時間や基本給、諸手当の額といった「労働条件」です。この労働条件がどのように定められているかによって、未払い残業代の金額が何円になるのかが大きく変わってきてしまいます続きを読む

労働時間の定義…未払い残業代請求のポイント②

前回のエントリーでは、未払い残業代請求のポイントとして3つの論点が有ることをご紹介しました。その内の一つ、「実際に職場に居た時間は何時間か」については前回ご説明した通りです。今回は、2つめの論点について以下にご説明したいと思います。

職場に居た時間が法的に「労働時間」といえるか

企業経営者の方がタイムカードを利用したがらない理由の一つに、「タイムカードに打刻された時間は全て労働時間と認めなければならないんじゃないか」という誤解が有るのではないかと思います。 続きを読む

未払い残業代請求のポイント①…就業時間の記録

残業したのに、残業代を払ってもらえない」…労働相談の現場で、多くの相談者から寄せられるお悩みです。書店に行けば、労使それぞれの立場から書かれた「未払い残業代」の書籍が棚に並べられているのを見かけますし、ネット上では「残業代請求」を売りにした弁護士事務所のバナー広告を多く見かけるようになってきています。

一昔前なら、「仕事なんだから少しぐらいのサービス残業は当たり前!」というコンセンサスが労使双方にできていたのかもしれません。しかし、「男は仕事、女は家庭」といった価値観が過去のものとなり、労働者の権利意識が高まりつつある昨今では、もはやそのような考え方は通用しなくなってきています。経営者が「ウチは中小企業なんだから残業代なんかいちいち払っていたら潰れてしまうよ」といって、法律を知らない労働者を誤魔化すことができなくなりつつあるのです。 続きを読む