先日公開した「 おすすめの助成金(令和4年度) 」にて、「前年度まで人気を博していた『働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)』の支給上限額が引き下げられてしまいました」という趣旨の投稿をいたしました。
当該記事でもご紹介したように、「時間単位年休制度の新規導入」や「ボランティア休暇や新型コロナウイルス感染症対策休暇など特別有給休暇制度の新規導入」といった取り組みに対する助成金の支給上限額が、それぞれ50万円から25万円へと引き下げられたことに違いは有りません。
しかしそのことを強調するだけで記事を締めくくってしまうのは、この助成金の本質を見誤らさせてしまうのではないかという懸念が後になって生じたため、それを正すべく1点だけ補足させていただくこととしました。以下、その内容です。
令和4年度から、働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の成果目標として新たに「年次有給休暇の計画的付与制度を新たに導入すること」が加わりました。
これは、事業主が指定する全ての対象事業場において、労働基準法第39条第6項で規定する年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入するために必要な経費(就業規則の変更や社員研修に係る費用、作業効率を上げるための設備等への投資など)が助成金の支給対象になるよう変更された、ということです。
ちなみに「労働基準法第39条第6項で規定する年次有給休暇の計画的付与」とは、使用者と、労働者の過半数代表者等との間で交わされる書面協定に基づき、労働者が年次有給休暇を取得する時季を予め年間カレンダー等で定めておく制度のことを意味します。
皆さまもご存じの通り、平成31年4月から全ての事業主に対して「年5日以上の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられておりますが、この「年次有給休暇の計画的付与」を上手く利用することで、事業主と労働者の双方に無理が生じない形で年次有給休暇を年5日取得できるようになると期待できるのです。
この取り組みに対する助成金の支給上限額は50万円です。つまり、「時間単位年休制度の新規導入」や「特別有給休暇制度の新規導入」の支給上限額がそれぞれ25万円、計50万円減らされてしまった分は、この「年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入」によってカバーすることができると言えます。
また働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)において、事業主が支給申請できるのは各成果目標に対して1回限り、と「支給要領」(助成金の支給申請に関するルール。厚生労働省のHPにて公開中)で定められています。言い換えれば、昨年度までに「時間単位年休制度の新規導入」や「特別有給休暇制度の新規導入」にて助成金を受給済の事業主であっても、今年度は「年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入」に取り組むことで、上限額50万円の助成金を再度申請することができることになるのです。
「 おすすめの助成金(令和4年度) 」でも言及しましたように、今年度はお手軽に高額な助成金を受給できそうな制度はほとんど見当たりません。よって、申請可能であれば、既に利用したことが有る助成金を再度申請してみるというのも選択肢の一つになり得ると思われます。
もっとも、助成金の支給上限額にばかり気を取られるあまり、自社の実態にそぐわない制度を導入してしまったり、不要な出費がかさんだりすることが無いよう重々お気を付けください。
当事務所は働き方改革推進支援助成金に関する知識やノウハウがとりわけ豊富ですので、様々なご相談にお応えすることが可能です。ご興味をお持ちでしたら、是非お気軽にお問い合わせください。