事例で解説!マイナンバー取得・保管セット活用法

マイナンバー制度の本格運用開始

新しい年も明け、いよいよマイナンバー制度の本格運用がスタートしました。現時点では雇用保険・労災保険・税金に関する手続きに範囲が限られているものの、人を雇う側としては、役所に提出する書類に記載するべく従業員のマイナンバー取得・保管等の対応が迫られています。

マイナンバー制度の運用開始にあたり、各企業から様々なマイナンバー取得・保管サービスが提供されていることは以前にも当ブログで取り上げました。それら多種多様なサービスの中でも、従業員十人未満の小規模事業所にとって特に便利な対応手段となり得るのが、株式会社 日本法令さまより販売されている「マイナンバー取得・保管セット」です。

このマイナンバー取得・保管セットの概要については、以前のエントリーでご紹介いたしました。そこで今回は、以前宣言していた通り、実際の用紙を用いて同セットの具体的な使用方法をご紹介していきたいと思います。 続きを読む

人気急上昇の助成金「働き方改革推進支援助成金」

 令和3年4月6日時点で、厚生労働省が今年度実施する助成金の申請マニュアルや支給要領(助成金申請におけるルールや注意事項をまとめた文書)がほぼ出揃いました。

 今のところ全ての助成金のマニュアル等を読み込めた訳ではありませんが、ざっと見たところ、一部を除いて支給要件や申請のルールが令和2年度から大きく変更された助成金は無さそうです

 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)のように制度が劇的に見直され、使い勝手が飛躍的に向上したものも中には有りますが、結局のところ前年度から人気が高かった助成金が引き続き多く利用される、というのが令和3年度における傾向ではないかと捉えております。

 助成金にもいわゆるトレンドが有り、キャリアアップ助成金が人気の年、介護支援取組助成金に申請が殺到する年、人材開発支援助成金が社労士の間で密かなブームになる年などその時々の情勢によって目まぐるしく変わっていきます

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令和4年度「働き方改革推進支援助成金」に関する補足

 

 先日公開した「 おすすめの助成金(令和4年度) 」にて、「前年度まで人気を博していた『働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の支給上限額が引き下げられてしまいました」という趣旨の投稿をいたしました。

 当該記事でもご紹介したように、「時間単位年休制度の新規導入」や「ボランティア休暇や新型コロナウイルス感染症対策休暇など特別有給休暇制度の新規導入」といった取り組みに対する助成金の支給上限額が、それぞれ50万円から25万円へと引き下げられたことに違いは有りません。

 しかしそのことを強調するだけで記事を締めくくってしまうのは、この助成金の本質を見誤らさせてしまうのではないかという懸念が後になって生じたため、それを正すべく1点だけ補足させていただくこととしました。以下、その内容です。

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令和4年度「働き方改革推進支援助成金」助成対象経費について①

 前回の投稿に引き続き、令和4年度における「働き方改革推進支援助成金」の注意点をご紹介していきます。

 既にご説明したように、「働き方改革推進支援助成金」では成果目標(「時間単位年休制度の新規導入」や「勤務間インターバル制度の新規導入・適用拡大」などコースによって異なる)の達成に向けた取組にかかる経費が助成金の支給対象となります

 この支給対象となる取組は、以下に挙げる7つのうち1つ以上を全ての対象事業場(成果目標の対象となる事業場)で実施することが必要とされています。

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個人情報一元管理への不安…マイナンバーによる行政事務の変化とは

個人情報一元管理への不安

各個人へのマイナンバー通知が、いよいよ近付いてきました。それに伴う事象なのでしょうか、私が仕事でお会いする方々との会話の中でもマイナンバーが話題になることが増えてきたように 感じます。

マイナンバーが話題に上がる度、皆さまが異口同音に口にされるのが「国による個人情報の一元管理」に対する不安や懸念です。マイナンバーが導入されることにより、ご自身の住所や氏名、生年月日は勿論のこと、税金の納付状況や社会保険の加入状況まで全て国によって一元的に把握されてしまうのではないか。このように心配されている方が多くいらっしゃるのが現状ではないでしょうか。 続きを読む

個別労働関係紛争(個紛)について、より分かりやすく

以前にもこのブログで取り上げましたが、改めて個別労働関係紛争(以下「個紛」)について書きたいと思います。以前のエントリーは無駄に長文になってしまいましたので、今回はその反省を活かしてなるべくシンプル、簡潔に(笑)。

そもそも個紛とは何でしょうか?それは、職場でのいじめやパワハラ、突然の解雇、一方的な賃金の切り下げといった、労働者と使用者(雇い主)との間で生じる民事的なトラブルのことを指します。ここでわざわざ「民事的」と書いたのには理由が有ります。労使間のトラブルと言えば、他にも『毎月の給料が払われない』『サービス残業させられた』などといったものも有るのですが、それらの労働基準法(以下「労基法」)違反の事例と個紛とは区別して考える必要が有るのです。 続きを読む

個別労働関係紛争(個紛)を解決するには

前回のエントリーでは、個別労働関係紛争(以下「個紛」)の定義、そして労基法違反の事例との違いについてご説明しました。今回は、職場でのいじめ・パワハラ、突然の解雇、給料の引き下げといった事態(すなわち個紛)になった際にどのように解決を図れば良いかについてご説明します。

前回、「個紛は労働基準監督署(以下「労基署」)の管轄外である」旨を書きましたが、それでは役所が一切介入できないかというとそうではありません。労基署の上位機関にあたる都道府県労働局には、助言・指導制度及びあっせん制度という個紛の解決手段が備えられています。 続きを読む

働き方改革推進支援助成金~労働時間短縮・年休促進支援コース~

 今回から、令和3年度の働き方改革推進支援助成金において用意されている様々なコースの内容をご紹介していきます。

 第1回は「労働時間短縮・年休促進支援コース」です。

 このコースは他と異なり、1つのコースの中に複数の成果目標が設定されています。その内容は以下の通りです。
 ①全ての対象事業場において、既存の特別条項付き36協定で設定されている時間外労働及び休日労働の上限時間を一定以下に短縮して管轄労基署に届け出ること。
 ②全ての対象事業場において、ガイドラインに規定された特別休暇制度(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、その他特に配慮を必要とする労働者のための休暇)のいずれか1つ以上の規定を就業規則にて新たに導入すること。
 ③全ての対象事業場において、時間単位年休制度を就業規則にて新しく規定すること。

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働き方改革推進支援助成金~労働時間適正管理推進コース~

 今回は「労働時間適正管理推進コース」をご紹介します。

 このコースは、前回まで取り上げた2つのコースと異なり、令和3年度になって新しく設けられたコースです。申請マニュアルや交付要綱などといった文書では明言されていませんが、その成果目標から推測するに、改正民法の施行により未払い残業代の消滅時効が延長された(従来の2年から暫定的に3年へ延長)ことを踏まえての新設ではないかと思われます。

 その成果目標ですが、以下に掲げる3つの取組を全て実施することが求められています。

  1.  新たに勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理IT システムを用いた労働時間管理方法を採用すること。
  2.  新たに賃金台帳等の労務管理書類(労働基準法第109 条に基づく記録の保存が義務づけられている書類のことをいう。)について5年間保存することを就業規則等に規定すること。
  3.  「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29 年1月20 日策定)に係る研修を労働者及び労務管理担当者に対して実施すること。

 この成果目標を眺めていると以下のような疑問が生じてきます。

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働き方改革推進支援助成金~勤務間インターバル導入コース~

 前回に引き続き、令和3年度における働き方改革推進支援助成金のコース内容をご紹介していきます。
第2回は「勤務間インターバル導入コース」です。

 このコースの成果目標は、全ての対象事業場において休息時間が9時間以上11時間未満又は11時間以上の勤務間インターバルを導入することとなっています。

 ここで言う「休息時間」とは、一日の勤務の終業時刻から次の勤務日の始業時刻までの時間を差します。例えば所定労働時間が9:00~18:00(休憩1時間)で週所定労働日数が月~金の5日と定められている職場であれば、月曜日の18:00に仕事を終えてから火曜日の9:00に仕事を開始するまでの時間が一つの休息時間ということになります。

 この休息時間は所定労働時刻だけで決まるものではなく、遅刻・早退や残業などによる始業・終業時刻の変動によって変わります。例えば先ほどの例において、月曜日に1時間の残業をして終業時刻が19:00になった場合は、月曜日の19:00から火曜日の9:00までが休息時間ということになります。

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